東日本大震災への対応 その2 H.24

霧立山の麓から幸せの風を吹き起こそう U

東日本大震災から間もなく2年を向かえようとしています。昨年度に引き続き,本校の東日本大震災へ対応についてまとめましたので公開いたします。

ここでは,本校が東日本大震災からの復興にあたり,平成23年度から平成24年度にかけて,どのようなことについて力を注ぎ教育活動を展開してきたのか,特に顕著な活動を取り上げ記述しております。そのため,本ホームページのニュースなどにみられる内容と重複している部分がありますことを御了承ください。また,本稿の記述は震災対応のごく一部であり,中には重要な事項でも記述していないものもあることを御理解いただきますようお願い申し上げます。

本校の取組が,今後の防災教育や心のケアなどを考えるときの一助になれば幸いと存じます。

1 はじめに

渾沌とした中にあっても教職員の力を結集し,様々な学校課題の復旧に当った平成23年度が瞬く間に過ぎ,東日本大震災は私たちに多くの教訓を残してくれた。人の温かさや絆の大切さもその一つである。

学校教育の復興元年と位置づけられる平成24年度,その教訓をもとに教育復興に向けた本校の教育活動について振り返り,特に力を入れて推進してきた「防災学習」や「心のケア」などについて本稿としてまとめ,震災後の足跡を後世に残すことは,大変意義深いものと考える。

2 平成24年度の教育復興に向けた取組

 2−1 防災学習の見直しや取組

 @ 避難マニュアルの配布

平成23年度に避難マニュアルを見直し,作成した家庭掲示用マニュアル「そのとき!どうする」を保護者会で説明し全家庭に配布した。掲示に十分耐えられるようラミネート加工をして強度を高めた。平成24年度は,新入生に配布している。

防災マニュアル

 

 A 避難訓練の工夫

抜打ち避難訓練振り返り 仮設住宅住民との合同避難訓練

 

地震想定の避難訓練を,今年度は抜き打ちで実施,訓練終了後,自分のとった避難行動の振り返りを行い,改善点について話合い活動を行った。【写真左】

また,火災想定の避難訓練は,昨年度同様校庭に建設されている仮設住宅の方々と合同で実施した。平日午後の実施であったため,主におじいさんやおばあさん方であったが,多くの方々に参加していただいた。【写真右】

 B 海抜表示プロジェクト

海抜表示プロジェクト1 海抜表示プロジェクト2

 

本プロジェクトは,地域の方と一緒に,学区内の電柱に,その地点のおよその海抜を示した表示板を取り付け,生徒のみならず地域の防災対応能力を高めようというプロジェクトである。また,生徒一人一人の自己肯定感や自己効力感を高める効果を期待している。取り付ける表示板は海抜によって色を変えており,海抜と色の関係について事前に繰り返し説明しておくことで,緊急時の幼児・低学年児童の避難行動の目安にしようと考えた。

なお,本プロジェクトは関西学院大学職員有志,東北電力など資金面や実施段階などで御支援をいただいて可能となった活動である。

<プロジェクトのねらい>

・日常的に海抜を意識した生活環境を作り出し,地域の防災対応能力を向上させる。
・地域の一員としての意識やふるさと復興の担い手であることの自覚を高める。
・定期的にメンテナンスを行い,災害の教訓を風化させることなく後世に伝承する。

海抜表示プロジェクト3 海抜表示プロジェクト4

 

【写真左】は,本校3年生が小原木保育園に出向き,小さい子供たちに海抜表示について説明している様子である。

【写真右】は,代表生徒2名が海抜表示プロジェクトを第4回ひょうご子どもサミット国際防災ミーティングに参加し,発表している様子である。

 

 2−2 心のケア等学校独自の取組

 @ ストレスマネジメント教育

ストレスケアマネジメント リラクゼーション

 

防災主任が全校生徒を対象に,災害後のストレスマネジメントの重要性について説明した。阪神淡路大震災時の統計的な資料を用い,時間の経過とともに表れてくるストレスやその症状,また,その予防やコントロールする方法などの知識や技能について解説した。【写真左】

次に,スクールカウンセラーからその対処法として「グランディング」と「数息観」のリラクゼーション技法を紹介し体験させた。 生徒たちは,「自分にもあてはまることがいくつかあった」,「意識していなかったがストレスがたまっていたことがわかった」などの感想を述べていた。【写真右】

 

 A 合宿での自然とのふれあい

上野原市ゆずりはら合宿1 上野原市ゆずりはら合宿2

 

8月には山梨県上野原市からゆずりはら自然の里への合宿招待を受け,全校生徒で参加した。3泊4日の合宿は,沢遊びや富士山御中道でのトレッキング,地元の中学生や和太鼓演奏団体との交流などの楽しいプログラムがいっぱいであった。生徒は震災以来自然とふれあう機会が少なく,自然に対しての恐怖感や嫌悪感を知らず知らずのうちに抱いていたが,3泊4日の合宿を通して,自然の優しさや素晴らしさ,交流できた上野原市のみなさんの温かい心や絆を感じていた。また,生徒の代表は,上野原市長さんに招待いただいての御礼とともに,ふるさとの気仙沼そして小原木の復興に少しでも役立つことをしていきたいと感想を述べていた。

 

 B 放射線量公表と出前授業

放射線の授業1 放射線の授業2

 

安心安全な学校環境であることを積極的に点検,周知する観点から,単独で空間放射線量を測定し,ホームページにて公開している。平成23年度は7月に9日間,平成24年度も4月に12日間校庭や校舎内の空間線量を測定し公開した。また,校医や歯科校医,保護者代表などを委員とする学校保健委員会では,それらのデータをもとに議題の一つに挙げ,心配のない線量である旨の話を校医先生からいただいた。

また,9月には日本原子力文化振興財団に出前授業をお願いし,2単位時間を使って全校生徒に放射線の授業を行っていただいた。放射線や放射能,放射性物質などの言葉の違いや簡単な性質などの講義,ウィルソンの霧箱を使った放射線の飛跡観察,線量計「はかるくん」を使った身の回りの放射線量を計測などを行った。教職員も生徒と一緒に授業を聴き,とてもよい研修の機会となった。

 

 C 仮設住宅の方々との農作業

農作業1 農作業2

 

本校では,技術・家庭科や総合的な学習の時間,委員会活動などで畑作業を行い,農産物を収穫している。そこで,校庭の仮設住宅で暮らしているおじいさんやおばあさんに声をかけ,生徒と一緒に畑作業を手伝っていただくようお願いした。生徒にとっては地域の方々とふれあう絶好の機会となり,また,おじいさんやおばあさんにとっては,身体を動かしながら孫の世代と話ができると大変好評であった。

 

3 取組を通して見えてきたもの

本校では,多くの御支援を大変有意義に活用させていただき,学校課題の解決に取り組んできた。その励ましに,何らかの形で謝意を表せないかと考え,学校の教育活動の一端をホームページで発信することにした。また,頂いた御支援を一覧表にして掲載するこで,生徒には,多くの方々の優しさ,真心を末永く心に刻んで感謝してほしいという願もあった。ホームページで子供たちの笑顔と活躍を見て,全国各地から更に御支援を頂絆を結び深めることができたことは,想定外のうれしい出来事であった。支援の積極的意図的な活用とホームページによる情報発信など支援へのタイムリーなフィードバッは,大変有効であると感じている。

4 今後に向けた校長としての思い等

「世界に羽ばたく小原木ブランドの生徒の育成」を合言葉に,今でなければできない教育,今だからこそできる教育は何かを模索し,これからも教職員一丸となって教育活動に取り組んでいきたい。 

小原木丸


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